百寺納経

第三箇寺 浅草寺| 妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五

聖観音宗総本山金龍山浅草寺(東京・台東区)

正月の参拝者数でも全国トップクラスの名刹。天台宗だったが、第二次世界大戦後に独立し、聖観音宗を興して総本山となった。本尊は聖観音菩薩で秘仏。東京では最古の寺。明治44年(1911)、国宝に指定されたが、昭和20年(1945)、戦災で焼失。通称雷門は、風神雷神二神を祀る。二天門は唯一戦災を免れた重文で、増長天、持国天の二天を祀る。

【書人寸言】浅草寺で親しまれているお寺ですが、泰書會発足当時は、この近くに事務所がありました。時々、参拝は致しましたが、自分がまさか、この由緒あるお寺に作品を奉納できるとは夢にも思いませんでした。若い時から経文には興味があり、いつかはこの法華経全文を書いてみたいという願いを持っておりました。それが少しでも果たせたのは、すべての方のお蔭です。 書風としては、泰雲楷法をやや扁平にしたものを考えたのですが、この扁平は、自身でも気をつけなければいけないと思っております。何故ならば、この扁平楷書は俗体になりかねないのです。よって線質にも配慮し、気を抜くことのないよう心掛けました。 紙は鳥の子にキラ引きという特殊な和紙を使用。ざらざらした紙面なので、筆の消耗が激しかったことも印象的でした。その摩耗した筆に愛着が出てきて、とうとう最後までその筆を使い尽くしました。筆に感謝かもしれません。