百寺納経
第一箇寺 高幡不動|般若理趣経
真言宗智山派別格本山高幡不動尊金剛寺(東京・日野市)
平安初期に円仁が、勅願で当地を東関鎮護の霊場とし、不動明王を安置したのに始まる。以来、高幡不動尊と呼ばれて親しまれ、江戸期には火防の不動尊として庶民の信仰を集めた。何度か焼失したが、昭和50年代以降、諸堂宇が再建され、往時を凌ぐ寺観を呈するようになった。丈六不動尊他、重要文化財も多い。
【書人寸言】理趣経は、本来、在家の身で書いてはいけないものかもしれません。ポピュラーなものではないからです。然し、縁あって私が25歳の時、仏縁を頂き、それ以来書き続けている経文であります。又、私自身はこれを写経と考えず、一つの楷書作品としてとらえております。 在家の人間が、柳田流の楷書を経文によって見せていくのも、何らかの役割を果たしていくことになるのではないでしょうか。私の書のバイブルとしては、唐代の歐陽詢の『九成宮醴泉銘』がありますが、経文としては、この理趣経と考えております。