2021年9月2日 10:00
第二十七回泰書展を迎えて
第二十七回泰書展を迎えて
逾々、待ちに待った泰書展が開催される。この様な状況で開催とは苦慮の末の決断であった。そしてコロナ禍に負けてはいけないと自身に言い聞かせながらの日々も続いている。正直言って開催日まで心配の種が尽きない。ただ、自分の事ばかり言ってはいられない。多くの方が大変な思いをされている。
泰書展について言えば、今回、百二十数名の方が出品された。これは敬服に値する。昨年、開催できず、二年越しの作品制作となった会員もいる。途中で挫折された方がいたり、やる気が失せてしまった方もいた。これも仕方のない事である。それでもこれだけの方から出品して頂けた。改めて心より感謝したい。
最近、泰書展の作品指導をしながら「稽古」とは何か・・・を考えさせられた。
「稽古」という言葉は、中国・「書経」の中にある。日本では『古事記』太安万侶(おおのやすまろ)(飛鳥時代から奈良時代にかけての貴族)序文末に「稽古」があり、その意味は「古(いにしへ)を稽(かむがへ)る」ことである。日本武術などの形練習においては、過去の達人であった者の足跡、残した理想的な形に近づくべく修練することをいう。武道、芸能に限らず、親方や師匠が教えることを、「稽古をつける」という。また、単に学んだことを練習することも稽古という。いずれにおいても、稽古を積み研鑽を重ねることによって実力をつけていく。
今回の指導は正に「お稽古」と言った感がある。練習の積み重ねで一定のレベルに上げていく。それを二年越しで書き上げた事になる。皆、立派であった。それに引き換え私は六十五年「お稽古」をしてきたのに未だその域に達していない。これだけ立派なお弟子さんがいるのに、私は一体何をしているのであろう。
今年の泰書展は、お弟子さんから励ましの力を頂いた様な感じもした。