2023年12月15日 10:00
書に携わる思い
書に携わる思い
自分で見たもの、聞いたものを信じる。それを糧として経験を積む。その糧には失敗と成功がある。どちらも大切で重要である。失敗だからといって悔やむ必要はない。成功だからといってはしゃぎはしない。人を慈しみ、自分に対して誠実で真摯な姿勢をとる。たとえ不可能と思っていても前向きな姿勢をとるのがよい。出来る夢を持つ。出来ない夢は持たない。言葉に出すという事は行動が伴うという事を忘れてはならない。
軽んじた褒め方は避ける。正直な褒め方がよい。「書」にはお世辞はいらない。人が上手くいった場合、心から喜んであげる。反対に失敗したら、心から同情してあげる。それは口に出さなくてもよい。人が喜ぶ事をする。それは本当は自分が一番喜ぶ事になる。自分だけが喜ぶのは半分喜んでいるだけ。直感を磨くのもよい。心は生き物であるから。心の奥底から「書」が生まれるのが理想。自分の「書」を書く事が一番。手本通り書けるのは本当のうまさではない。人を非難するより、自分を非難する。人を傷つけない努力も大事。人を傷つける事は自分をも傷つける事になる。
最近、美しい景色を見ると自分の心について考えさせられる。「生きていてよかったぁ~」とか、そこから自分に思いを巡らせる事になる。漸く美しい風景を見る意味が解りかけてきた。東京には風景が無い。だが近代的な美しい洒落たラインが見える時がある。ただ妙な事に空から見る都会は墓標みたいに感じる・・・。
(機関誌 泰斗令和五年十二月号 巻頭言より)