本日の書

2018年1月31日 3:48

嘉靖主・壽詩(かせいしゅ・じゅし)

嘉靖主・壽詩(かせいしゅ・じゅし)

 

貴殿のこの祝いの日に、福寿を祈る星が北の空にひかる。
金の香炉に香り高い香を薫じ、そのまわりを輝かそう。
気高い山のように千年もすがすがしく、海の如く万年も清らかであれ。
君の為に、この八句の詩を捧げ祝おう。
そして蓬莱山の不老不死の仙人の寿を授からんことを祈る。

 

この詩の作者・嘉靖主は、中国の明代・嘉靖期の主、つまり嘉靖帝のことである。明の第十二代皇帝で、世宗(せいそう)と言う。自身の男児誕生を祝って詠んだ詩と思われる。

 

扇面作品は厄介なもの。「書」で言えば、行書・草書・隷書・篆書では面白く書けるが、楷書となるとその様な訳にはいかない。どんな紙面であってもそれに合わせた字形(結構美)を追究しなければ、楷書作品とは言えないであろう。
老泰

2017年3月31日 16:42

福聚海無量(ふくじゅかいむりょう)

福聚海無量(ふくじゅかいむりょう)

 

法華経・観世音菩薩普門品の中の語句。福徳の集まることが海のように広大であるということ

経文を書くときは、いつも緊張する。確かに漢詩漢文でも緊張はあるが、殊に経文は一種独特の重みを感じてしまう。

「書」は常に緊張の連続である。現代は「書」を楽しむという立場もあるが、それでは決して、高い境地は望めない。芸術とはそういうものである。精神的、宗教的思想が入らなければならない。

肩肘張った、ものの言い方かも知れないが…。

老泰

2017年3月11日 12:40

一龍一蛇(いちりゅういちだ)

一龍一蛇(いちりゅういちだ)

 

ある時は龍となって天を駆け、

ある時は蛇となって泥沼をはう。

時の動きにつれて治世にはあらわれ、

乱世には潜むことをいう。

今は「蛇」なのか?

老泰

2017年2月20日 0:01

鳳凰于飛(ほうおうゆきとぶ)

鳳凰于飛(ほうおうゆきとぶ)

 

雄の鳳と雌の凰が飛んでゆく。

婚礼の時によく使う言葉。孔子の編纂と伝えられている歴史書「春秋」の中にある。こんな時代から婚礼の儀に、若者夫婦が仲良く巣立つ事を祈っての言葉。

いつの時代も祈ることは同じである。

今回、友人のご子息の婚礼の儀に寄贈した。古めかしい言葉かもしれないが、いつまでも幸せであって欲しい。

老泰

2017年2月10日 0:01

孟浩然 春暁 (もうこうねん しゅんぎょう)

孟浩然 春暁 (もうこうねん しゅんぎょう)

 

楷書らしく楷書を…。

常にどんな漢詩、漢文を書くときも思っている。

例え、春暁の様な穏やかな内容であっても楷書で書く。

無骨ではあるが、それが柳田流の「書」の生き方である。

老泰